ハリマ化成グループ

One Hour Interview

One Hour Interview

新しい原理で世界を一変させたい

廣戸 聡

ナンバーワンと同時にオンリーワンの研究を

先生が学生を指導するにあたり気をつけていることはありますか。

 ディスカッションする機会や時間を多くとるようにしています。2015年に米ヴァージニア大学に半年間、客員研究員として滞在したとき、学生はもちろん実験もしますが、ディスカッションが非常に多いことに驚きました。1回に3~4時間は話し合いに時間をかけていましたから。また、アメリカでは学部生の有機化学の講義を行うという貴重な経験もさせていただきましたが、学生が講義中に積極的に質問をし、講義後も内容についてのディスカッションをしにくることが印象的でした。私の研究室でもディスカッションの時間を十分にとるように心がけています。研究を進めるうえで、1人で悩んでいても解決しない問題はたくさんありますし、実験していると何がわからないのか、何が問題なのかも見えなくなってしまうことがあります。そういうときに時間をかけてじっくりと話し合うことで、新しい視点や考え方に気づくことも多く、より効率的に研究が進められるのではないかと考えています。

そういうディスカッションでは、先生が学生に気づかされることもあったりしませんか。

 ありますし、むしろそのほうがうれしいですね。学生には自分で考え、自分で提案できる力を身に付けてほしいと思っていますから。

今後の目標はいかがですか。

 世の中を一変させるような研究をしたいとは常々思っています。モノづくりでというより、新しいものをつくることによって新しい原理や原則を生み出し、それが世の中の構造を変える、そういう研究を目指しています。ナンバーワンであると同時に、オンリーワンでもありたい、それが目標です。

京都大学 大学院人間・環境学研究科 准教授 廣戸 聡[ひろと・さとる] 1981年、島根県生まれ。京都大学理学部卒業。同大学大学院理学研究科化学専攻博士後期課程修了。理学博士。日本学術振興会特別研究員、名古屋大学大学院工学研究科助教を経て、2018年4月より現職。中高は鹿児島のラ・サール学園で6年間の寮生活。「ド田舎の寮生活で自由を満喫した」とか。「小さい頃から科学者になるのが夢であり、実験が好きだからこの業界を選んだ」そうで、今も自ら手を動かしているという。

「第32回松籟科学技術振興財団研究助成受賞」

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