One Hour Interview
新しい原理で世界を一変させたい
廣戸 聡
分子サイズのコイルが可能になるかも
この研究を発展させると最終的には何か新しい材料ができたりするのですか。
π共役分子は電気を通す性質があり、ヘリセンという分子はもともとコイルの材料として注目されていました。だからアザヘリセンを重ねていくと螺旋型の電気を通す導線、つまりコイルのような性質が実現できるのではないかと考えています。アザヘリセンという化合物自体がつくりにくく、しかも合成に多段階の反応が必要とされていたため大量につくるのが難しいことから、まったく実現できていませんでした。ですが私たちの反応なら一段階でつくることができるので、大量につくることも容易です。どんどんつなげていけば分子サイズの小さなコイルができるのではないかと考えています。今、つなげていくとどういう性質が出るのかを知るための基礎的な研究を進めているところです。
それはマイクロロボットなどにもつながるものですか。
そうですね……。そうなればうれしいですが、かなり先のことになるでしょうけど。100年後とか200年後とか。
先ほど、ネイチャーの名前が出ましたが、先生の研究は多くの有名なジャーナルの表紙を飾っています。すごいことをしているという意識はありますか。
つねにすごいことをしたいという意識はあります。また、ジャーナルに掲載できたということは、その結果が認められたということかなという喜びもあります。
表紙になった回数はどのくらいですか。
たしか10回以上だったと思います。