ハリマ化成グループ

One Hour Interview

One Hour Interview

多様な用途が期待できる木質系炭素材料を開発

水野潤

ストーブで電池をチャージ

煙が出ない……。どういうことでしょうか?

ペレット状木質系炭素材料

 FLCMをペレット状に加工して、そこに竹材を入れるのです。竹は脂分を含んでいるので、着火しやすくなるうえ、燃焼効率も高くなります。完全燃焼に近い状態になります。

完全燃焼だから煙が出ないということですか?

 それもありますが、ストーブも二次燃焼を起こせるような特殊な構造をしています。だから煙はほとんど出ません。マキを割ったり運んだりするのは大変ですが、ペレットは軽いので、高齢者でも容易に扱えます。煙が完全に排出されれば、たとえば被災地の避難所でも室内で使えるかもしれません。さらに、このストーブに熱電変換のチップをつけて、暖を取ると同時に携帯電話のバッテリーをチャージできるようにしようというアイデアも出ています。“IoT”(Internet of Things)を取り入れることで暖を取ったり、バッテリーチャージのみならず、このストーブが燃焼しているか、または燃料が足りないかも分かるようになります。被災地が停電していたら、情報を得るには携帯電話が頼りです。でも、電池の容量が少なくなってきたら不安ですよね。そのときにこれを使うというわけです。

それは実用化できるのですか?

 ストーブはすでに、共同研究先の方が商標登録を済ませ、販売するための会社も設立されています。登山用品メーカーなどから引き合いも来ているようです。私は経営に直接携わりませんが、アドバイザーとして商品化には関わっています。

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