One Hour Interview
多様な用途が期待できる木質系炭素材料を開発
水野潤
シート状に加工できるのが特徴
その「FLCM」はどういう特徴があるのでしょうか?
仮導管由来の貫通孔が維持されているため、バインダーを加えなくてもシート状に加工できるのが最大の特徴です。活性炭はバインダーを使わないとシート状にできません。しかし、バインダーによる封孔が起きてしまうという課題があります。FLCMはその課題をクリアしています。しかも真空紫外光(VUV)とオゾンを組み合わせたVUV/O3処理がFLCMの有効表面積を増大させることも発見しました。VUVで励起された酸素やオゾンが炭素表面をエッチングするため有効表面積が増大するのでしょう。表面積が増えればそれだけ反応場が大きくなります。
どういう用途が考えられるのでしょう。
最初は電気二重層キャパシタにしてみようと考えました。電極材にはセラミックスがよく使われますが、セラミックスは高価で加工もしにくい面があります。FLCMでは、活性炭で薄くつくった電極とほぼ同等の電気特性などが確認できています。ただ、特性が同等だと、コストがずっと安くなければ活性炭にとって代わるのは難しいかもしれません。