One Hour Interview
多様な用途が期待できる木質系炭素材料を開発
水野潤
炭素ガス無害化素子にも
電極以外では?
今年の7月、カーボン系の国際学会で学生がこの研究を発表したところ、米国の食品メーカーから食品用の乾燥剤として使えないかという問い合わせが来ました。実はこの材料、水の吸着率もいいんです。今使われている乾燥剤は子どもの誤飲が問題になっています。食品と同じ容器や袋に入っているので、間違えて食べてしまうこともあるようですが、体内に入るといい影響はありません。その点、FLCMは自然の植物由来ですから体内に入ってもリスクは低い、価格も安いということで、このメーカーは目を付けたようです。それにしても海外の企業はフットワークが軽いですね。その他にもいくつか、海外から問い合わせや引き合いが来ています。
それ以外にもいろいろな用途がありそうですね。
実は今、一酸化炭素が社会問題になっているそうです。高層ビルでは一酸化炭素を夜中に除いているところもあるといいます。FLCMに貴金属を成膜させて、触媒反応機能を付加させることができると、そうしたガスのフィルタリングにも使えるのではないかと検討しています。最近、火山の噴火の被害が問題になっていますが、登山をしていて突然噴火しても防毒マスクを持っている人はあまりいませんし、持っていてもすぐに取り出せないかもしれません。そのときFLCMのシートを1枚持っていれば、一酸化炭素ガスの吸引を大幅に防げるかもしれません。
もうひとつ、これを身近なフィルターに使う面白いプランがあります。煙の出ないストーブです。