ハリマ化成グループ

One Hour Interview

One Hour Interview

クロスカップリング反応を応用して有機薄膜太陽電池の開発に邁進

西原康師

新たな反応開発が必要不可欠

有機薄膜太陽電池の材料となる有機化合物はどのようなつくり方をするのですか。

西原さんが最近発刊したクロスカップリング反応を応用した研究例に関する本

 クロスカップリングという反応を使っています。従来の合成法では何段階もの反応が必要でした。たとえば、10段階の反応で目的物を合成するとしたら、各反応の収率が90%でも、10段階を経ると最後には10%以下の収率になってしまいます。

 それを1ステップで一気につくってしまうのが「クロスカップリング」という反応です。最初にクロスカップリングが開発されたのは1972年で、以後、世界中の有機合成化学者の先生方がいろいろなものを使ったクロスカップリングを見出してきました。根岸英一先生、鈴木章先生などは、クロスカップリングの研究でノーベル化学賞を受賞されています。面白いことに発見したクロスカップリングが評価され普及すると、その研究者の名前が冠につくようになります。根岸カップリングとか鈴木カップリングというように。もちろん勝手に自分の名前をつけてもだめですよ。人がその名前で呼んでくれるようにならないと。

西原カップリングが生まれる可能性はいかがですか。

 死ぬまでには見つけたいですね(笑)。

この研究ではどういった目標を設定されていますか。

 「ACT-C」は5年半のプロジェクトです。ですからこれから5年以内に変換効率を15%まで向上させ、実用化のレベルまでいくのが目標です。

このプロジェクトに参加される前はどのような研究をされていたのですか。

 まだ知られていない反応の開発が主な研究テーマでした。新しいタイプのクロスカップリングの開発もその範疇に入ります。反応開発のために使うのが遷移金属触媒で、私たちの研究室ではパラジウムやロジウム、ルテニウムなどを使って新しい反応を見出そうとしています。今は分析機器が発達しているので、わずかな量でもそれがどういう性質を持った化合物なのか分析することができます。だから実験室レベルでは、100ミリグラム程度の量をつくれば十分です。ところが太陽電池の材料をつくる場合は、たくさんの量が必要になります。不純物が入っているとよい数値が得られないので、精製をしっかりやらなくてはならず、だから量が必要になるのです。そのため収率の高い反応でないといけないわけで、反応開発がすごく大事になります。つまりもともと私がテーマにしていた研究がこのプロジェクト研究でも必要不可欠だということです。

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