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伝説のテクノロジー

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銅版画

美術家・舟田潤子さん

西陣織や和菓子店ともコラボ

 実は舟田さん、大学で勉強しただけでなく、版画教室に通ったこともある。卒業した大学の研究生となって1年間通った経験もあれば、パリやギリシャで制作活動をしたこともある。そうして銅版画の基礎をきちんと身に付けたうえで、オリジナルの技法を用いるようになったのだ。型をしっかり叩き込んでからその型を崩す、まさに型破りである。

 今は銅版画のほかに、和紙で絵を描く和紙絵画の創作もしている。西陣織「となみ織物」や京菓子の老舗「老松」などとのコラボレーションにも積極的に取り組んでいる。アートワークを手がけた「ホテル グラン・エムズ京都」では130の全客室、メインロビーやエレベーターホールなど、全面的に舟田さんの作品が飾られている。京都のコミュニティ施設「QUESTION」の1階から4階までの壁面には、舟田さんの作品がビルを象徴するアートとして、交流の場をカラフルに明るく彩っている。「CandyCircus」というオリジナルブランドも立ち上げ、バッグやポーチ、コラボレーションの一つとして西陣帯や和装小物をつくるなど、活動は多岐にわたっている。

 「銅版画と聞くと『印刷でしょう』といわれることがあります。残念ながら銅版画はまだ正当に評価されていない部分があると感じています。銅版画の社会的な価値をもっと高めるためにも今は1点ものの制作にこだわっています。ゆくゆくは後輩たちが銅版画家として長く続けていけるように、微力ながら力を尽くしていきたく思っています」

 型破りな銅版画家として、舟田さんは2022年もさらに新しい道を切り拓いていくつもりである。

あふれ出るイメージはどこから湧いてくるのですか?の問いに、「日頃から面白いことを見つけています。気になったところを写真に撮ったり、サーカスに行ってパンフレットをもらったり」と舟田さん。

舟田潤子[ふなだ・じゅんこ] 1982年、京都府生まれ。京都精華大学芸術学部造形学科版画専攻卒業。在学中に銅版画家として生きていくことを決め、本格的に創作活動を始めた。フランスやギリシャで制作をしたこともある。2006年、第5回大野城まどかぴあ版画ビエンナーレで池田満寿夫大賞受賞、2010年、第30回カダケス国際ミニプリント展(スペイン)大賞受賞。趣味はスノーボード、シュノーケリング、スイーツ観賞。個展のほか、西陣織、ホテルや企業とのコラボレーションも行うなど活動の場を広げている。

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