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伝説のテクノロジー

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銅版画

美術家・舟田潤子さん

楽しみながら自由に描く

 そうして2回生の頃から銅版画を中心として勉強を始めた舟田さんに、オーストラリア国立大学への留学という転機が訪れる。

 「日本にいたとき、自分も周りも何だかいつも忙しくしていました。海外で出会った方々は自分の時間をとても大事にして生きています。私もそれを見て、もっと楽しんで生きなければと気がつき、人生観が変わりました」

 自分の気持ちの赴くまま自由に絵を描いている画家がいることも知った。

 楽しみながら自由に描く。それから舟田さんは以前よりも自由な気持ちで銅版画と向き合えるようになった。そして大学卒業直前、大阪でアートイベントに作品を出展すると大賞を受賞した。

 「銅版画で生きていこう」

 そう決意した舟田さんは、就職はせず、銅版画作家としての道を歩みだしたのだった。

松やに。細かく削って銅板に振りかける。

 14世紀から15世紀頃、北ヨーロッパとイタリアで生まれた銅版画には、いくつかの技法がある。一般によく知られているのは「エッチング」だ。銅板の表面をグランドと呼ばれる防蝕剤で覆い、その上に金属製の棒のニードルで線や絵を描き、腐蝕液に浸ける技法である。そうするとニードルで描いた線の部分が腐蝕し、銅板に線や絵が刻み込まれる仕組みだ。このグランドは通常、松やに、アスファルト、白ロウを一定の比率で混合してつくられる。舟田さんはニードルの代わりに木の小枝を使うこともある。

 腐蝕させた銅板の表面に松やにの粉を振りかけて加熱定着させ、さらに腐蝕させることで多孔質の版面をつくり出す「アクアチント」という技法もある。そのほかに「ドライポイント」「メゾチント」「エングレーヴィング」などの技法もある。

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