ハリマ化成グループ

伝説のテクノロジー

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マッチ型お香スティック

神戸マッチ代表取締役・嵯峨山真史さん

10MINUTES AROMA

ロゴは日々にかけて“日”の漢字を2つ合わせたデザイン。「hibi」完成までの3年半の気持ちを聞くと「これと思ったことをやって、それに会いに行く感じ」と嵯峨山さんは言う。

 2015年春、ようやく新商品ができた。この商品は炭を入れることで燃焼しやすくしたお香の軸に和紙を入れて強度を増し、それを大発から神戸マッチが仕入れ、先端に頭薬をつけるという製造工程で作られる。それが8本入った箱の側面にはマッチ箱と同じように側薬が塗布されている。お香の頭薬部分をマッチのように側薬部分に擦れば火がつけられるというわけだ。

 商品名は「hibi 10MINUTESAROMA」。疲れたとき、ほっとしたいとき、あるいは読書中など手軽に日常使いできるお香というのがコンセプトだ。カーボン素材の不燃性マットが同梱されていて、火のついたお香をその上に置くと約10分間、香りを楽しむことができる。現在、香りの種類はレモングラス、ラベンダー、ゆずなど13種類ある。

 嵯峨山さんはこの商品をまずギフトショーに出品した。マッチで使っていた流通ルートには流さないのが嵯峨山さんの方針だった。「マッチの価格は44本入りで20円くらいです。でも、hibiは8本入りで650円というのが基本です。従来のマッチのイメージがあるお客さんにはおそらく目を向けてもらえない。そこで、先入観なくこの商品を評価してくれるルートがいいと考え、雑貨市場に出すことにしたのです」

 最初はギフトショーの後、引き合いが来た大手雑貨店チェーンに卸した。だが、売れ行きは芳しくなかった。もっともそれは嵯峨山さんもある程度、予想していたことだった。「POPも作りましたが、ただ置いてあるだけではいったいどういうものなのか、どう使うのかお客さんには伝わりません。ストーリー性のある商品なのでそれを伝えるためにウェブサイトも使いましたが、香りを確認してもらうにはやはり実店舗販売がいいと感じました」

 そう考えた嵯峨山さんは2015年秋、当初から本命視していたセレクトショップ向けの活動を本格化させた。まず「感度のいいバイヤーが集まる」(嵯峨山さん)展示会に出品。すると、雑貨や書籍などを扱う複合店舗を全国展開しており、感度の高い女性にファンが多い大手企業のバイヤーが「hibi」に着目してこう言った。「この商品にはブランドの思想を感じます。応援させてください」

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