ハリマ化成グループ

次代への羅針盤

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化学を、楽しみましょう

中條善樹

化学の力で未来を元気に

 最近は日本のパワーが落ちてきたと多くの人が言います。しかし私はそうは思いません。中国などの国力が上がってきたので相対的に落ちているところはあるかもしれませんが、海外の人は日本の化学をとても高く評価しています。ただ、20年後、30年後がどうかというと、現状のままではかなり厳しいことになっているでしょう。だから私は今、頑張って、化学の力で未来を元気にしたいと強く思っています。

 ドイツのヘルマン・シュタウディンガーが高分子の概念を提唱したのは1920年代のことです。それからほぼ100年経った今、私たちはこれまでの歴史を振り返ると同時に、今後の100年を見据えて学問としての高分子の重要性、材料としての有用性を今一度、真剣に考えるべきです

 化学が未来を元気にする。高分子が地球を救う。私はそう思っています。高分子化学にはそれだけの力と可能性があると信じています。

 固定観念にとらわれず、思考そのものをハイブリッド化させ、新しい高分子材料を創出する。それによりエネルギーや環境や医療など人類が直面するさまざまな問題の解決に道を開く。若い方たちには、ケミストリーをエンジョイしながらぜひそうしたことに挑戦していただきたいと思います。

専門外のことにも興味を持ち、いろいろな観点から物事を見る。
それがハイブリッド思考だ。

中條善樹[ちゅうじょう・よしき] 京都大学 名誉教授 1952年、京都府出身。京都大学工学部合成化学科卒。同大学院工学研究科合成化学専攻博士課程修了。工学博士。
名古屋大学工学部助手、京都大学工学部講師・助教授を経て1995年、同大教授に就任。今年3月に退官し名誉教授に。高分子学会代表理事・会長、近畿化学協会代表理事・会長、日本化学会代表理事・筆頭副会長などを歴任。現在は国際化学オリンピック日本委員会の理事として2021年に日本で開催される予定の国際化学オリンピック実行委員長を務め、「化学が好きな小中学生、高校生を増やしたい」と語る。

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