ハリマ化成グループ

次代への羅針盤

次代への羅針盤

たとえ基礎的な研究でも出口を見据えた構想力を

時任静士

あえて研究テーマを変えてきた

 研究テーマが変わるということは、研究者にとって不利に働きます。どんな分野であろうと、同じテーマで30年研究し続けたら、大御所になれます。大御所になりたいと思ったら、石の上にも30年です。

 けれどもずっと同じテーマだと、陳腐化する部分も出てきますし、世の中のニーズも変化してきます。ひとつのテーマに捉われすぎず、ときには新しい分野に挑戦したほうがいい場合もあります。もちろん新しい分野といっても、自分の専門性を生かせる分野であることが必要です。

 私がいきなりバイオテクノロジーの分野に入ろうとしても、弾き飛ばされるだけです。でも、有機トランジスタを活用したバイオセンサーなら私の専門性を生かすことができます。逆にバイオをずっと専門に研究してきた人には、この種のバイオセンサーはハードルが高いでしょう。

 もともと大学人ではなかったので、社会のニーズに応えたいという気持ちが私にはあります。専門性にこだわってずっと同じところに居座るのではなく、ニーズに応える形で臨機応変に対応していく。それが本来の研究者の姿だと私は思います。

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