野球の試合中、投手がマウンドで手にする白い袋。野球好きならだれもが知る「ロジンバッグ」。その手のひらほどの大きさの袋の中の白い粉には、「松やに（ロジン）」が配合され、グリップを利かせる役割を果たしてくれます。ロジンは手や指先につけて滑り止めとして使用するほかにも、私たちの身近にある紙ラベルや粘着テープなどに強度を付与する素材としても使われています。ハリマが製造販売しているロジン系粘着付与樹脂は、まさにこのような場面で日常生活に役立っているのです。簡単に剥がれてしまうような弱い粘着剤でも、当社の粘着付与樹脂を5～10%加えるだけで、その粘着力が飛躍的にアップします。

　近年、世界的に環境問題への関心が高まっているため、揮発性有機化合物（VOC）の排出抑制・脱有機溶剤化による水系化の流れが強まり、環境や健康への安全性を重視した製品が求められています。粘接着剤が水系へとシフトしつつある中、粘着付与剤のロジンも水系への対応が必要となりました。ところがロジンは水に溶けないため、一度有機溶剤に溶かして液状にしたものを、乳化剤を使って水中に分散させ、さらにその有機溶剤を回収しなければならず、有機溶剤がわずかに製品中に残ってしまうという課題がありました。

　たとえ0.1%でも、人や環境に影響があるものは取り除きたい。そう考えたハリマは製造プロセスを根本から見直し、「無溶剤エマルション型粘着付与樹脂」の開発に成功しました。製造時の温度や圧力を工夫することで、乳化のための有機溶剤を一切加えない、安心して使用できる粘接着剤を実現することができました。

　環境に配慮した製品をお届けすることは、「自然の恵みをくらしに活かす」企業としての使命です。今後は、技術力をさらに高め、多様化するニーズに応えていきます。