One Hour Interview
独自の手法で創薬資源を開拓
菊地晴久
オンリーワンの研究領域を目指す
こうした研究で特に難しかったことはありましたか。
新しい手法で創薬資源の開拓ができるということを広く提示し、認知されるまではなかなか大変です。ある意味、私のしている研究は両方とも流行の分野ではないのですね。多様性指向型合成を活用した創薬資源の開拓を学会で発表しても、なかなか誰も手を加えてきません。今でも「何でそんな研究をしているのか」と不思議がられることがあります。しかし私は流行の先端を研究するよりも、誰も手を付けていない分野を最初に開拓し、成功させることのほうが大事だと思っています。いつかは、誰かが後を追ってくるかもしれませんが、変わらずにオンリーワンの研究を目指すつもりです。今のところ細胞性粘菌を対象にこのような研究をしているのは、おそらく世界でも私だけです。成功したら、自分の研究分野にできるわけで、それが研究の楽しいところかなと思っています。
創薬資源を薬に仕上げることが先生の目標ですか。
実際に薬に仕上げるのは製薬企業ということになるでしょうが、その過程にはもちろん携わりたいですね。単に創薬資源になりそうないろいろな化合物が取れたというレベルにとどまらず、それをもとに薬にするプロセスは経験してみたいと思っています。