ハリマ化成グループ

伝説のテクノロジー

伝説のテクノロジー

木を診断し、守り、育て、愛情をそそぐ

樹木医 塚本こなみさん

樹木医になって気がついたこと

 1992年、塚本さんは試験に合格して樹木医の資格を取得した。樹木医の資格制度ができたのはその前年のこと。初年度は女性の受験者がいなかったので、女性樹木医の第1号となった。

 塚本さんが造園業を営むご主人と結婚したのは1971年のこと。樹木医になったときはすでに20年の造園経験があった。だが、樹木医になって初めて「自分が木のことを知らないことに気がついた」という。

 「木を植え育てていくことはできましたが、木を見て診断する力はありませんでした。女性樹木医第1号ということでメディアの取材がたくさん来ましたが、何も知らないのにスポットライトを浴びて恥ずかしい気持ちでいっぱいでした。これではいけないという思いで、そこから猛勉強しました」

 大自然にある樹木は、極力、自然の力で治したい。そう考えた塚本さんは、自分でいろいろな治療法も考え出した。木の幹に空洞ができたらそれまではコンクリートや発泡ウレタンを充填していたが、「そんなことをしても木が喜ぶとは思えない」から泥や炭を使うようにした。緊急の場合には農薬などを使うこともあるが、できる限り自然の資材を使うのが塚本さんの流儀だ。西洋医学ではなく、東洋医学を目指したというわけである。

 「今は木を見て、触るだけで、健康なのかどうか、どういう育ち方をしてきたのか、木が何を求めているか、だいたい分かります」

次のページ: フラワーパークの経営再建も

1 2 3 4