伝説のテクノロジー
真空管アンプが生み出す“本物の音”
オーディオ職人 今井清昭さん
米国、中国、ロシアから真空管を輸入
もちろん真空管なら何でもいいというわけでもない。いろいろ試してみて、今井さんが最終的に選んだのは三極管のみ。五極管やビーム管は音の歪みが大きくて使えないというのが今井さんの得た結論だった。だが、現在、日本国内では真空管は製造されていない。そのため同社は商社経由で米国、中国、ロシアから輸入している。
部品では、トランスも重要だ。「真空管アンプの音質の善し悪しはトランスで90%決まる」とまで今井さんは言う。そのため今井さんは3年の歳月をかけてオリジナルのトランスを開発し、信頼できるメーカーに製造を委託している。
だが、いくら高品質の真空管やトランスを使っても、組み立てや調整が不十分だと、いい音質は得られない。今井さんはできる限り電流の通過損失が少なくなるように、何度も何度も配線図を書き直す。
そのため配線図を書く作業に専念しても、10日くらいはかかるという。
「スロベニアで試聴会を行ったとき、プリント基板は使っていないと説明したら、信じてもらえなかったので、アンプの中を見せたら拍手と歓声が起きましたよ」