ハリマ化成グループ

次代への羅針盤

次代への羅針盤

社会に届いてこそ研究には意味がある

武岡真司

多領域の学問を融合し新たな学際領域を創出

 ですから、理工学部が再編され、生命医科学科が新設されると聞いたときはまさにわが意を得たりで、立ち上げに積極的に参画しました。

 早稲田大学には医学部がないため、医学専門の教員は外部から招聘しました。また生命科学系の教員も他大学からお招きし、多様な専門領域の専門家が集まることになりました。

 皆さん、それぞれの専門領域で実績を積んでこられた方たちばかりです。幅広い領域の知見が融合する期待がある一方、ともすると方向性がばらばらになってしまいかねません。そこで、物理、化学、生命科学、医学など多様な学問領域を融合させた新しい学際領域を創出するという理念を明確にして、カリキュラムを作成しました。

 当時、早稲田の理工学部は東京女子医科大学との医理工連携も進めていました。そこで、生命医科学科の拠点は新宿区若松町の女子医大の近くに建てることにしました。女子医大の研究所と一体となったTWInsという一つの建屋の中に生命医科学科・専攻は入居し、各研究室を壁で隔てられていないオープンラボにし、さまざまな領域の研究者が自由に行き来し、自由にコミュニケーションをとれるようにしています。

 以来17年が過ぎ、東京工業大学と東京医科歯科大学が統合して東京科学大学になるなど、私たちと同じような多領域の学問の融合がいろんなところで行われるようになりました。その先駆けだったと自負しています。

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