次代への羅針盤
大学や企業の壁を越えもっと外へ
高分子化学をベースに、医療分野に応用するナノマシン開発に取り組む片岡一則氏。
企業の研究者ももっと外に出ていくべきだと強調する。
Kazunori Kataoka
片岡一則
公益財団法人川崎市産業振興財団 ナノ医療イノベーションセンター センター長
体内病院の実現へ
2015年に運営が始まったナノ医療イノベーションセンター(Innovation Center of NanoMedicine=iCONM)は、人々が疾患から解放されていくことで、自律的に健康になっていくスマートライフケア社会の実現を目指しています。文部科学省は2013年に革新的なイノベーションを産学連携で実現する目的で、全国に18の研究拠点を設けました。その中で当センターは唯一自治体系列の運営で、かつ大学ではないところに設置されています。それはiCONMが当初からオープンイノベーションを志向していたからです。その特徴を活かし、ここではさまざまな大学や研究機関、あるいは民間企業などがそれぞれラボを開設し、組織の垣根を越えた研究をしています。
そうした研究プロジェクトの中でCOINS(Center of Open Innovation Network for Smart Health)と名付けられたプロジェクトは、2045年までに体内病院をつくることを目指しています。体内病院とは、スマートナノマシンを体内に循環させることで、病気の健診、診断、治療という一連の行為を行う仕組みのことをいいます。