軽量化を支える製紙用薬品
普段、何げなく使っている段ボール。通信販売の梱包材をはじめ、さまざまなものを外部の衝撃から守るために使用されていますが、実は少しずつ変化しています。例えば形状。最近飲料水などが入った段ボールの蓋が短くなっていたり、角が取れたデザインになっていたりと変わった形状のものが増えていることにお気づきでしょうか。
コスト削減?デザイン性を重視した結果? 実はそうではないのです。SDGs(持続可能な開発目標)の達成に必要なカーボンニュートラルの実現に向けて、CO2削減を目指した結果、このような変化をしたのです。
これらの工夫により、同様の機能を持つ段ボールを製造するのに必要な紙の使用量を10~25%、CO2排出量にして数%の削減が可能で、さまざまなメーカーが改良に取り組んでいます。また、CO2削減に向けた動きは構造以外でも進み、段ボールの材料となる紙(原紙)もここ数年で軽量化、薄物化が進んでいます。これにより、面積当たりの紙原料の使用量削減のみならず、輸送時のCO2削減も可能となっています。
ところで、段ボールは紙使用面積の削減や原紙の軽量化・薄物化の影響で、構造としては弱くなる方向へ変化しています。加えて再生可能資源として古紙の再利用が繰り返されることで紙をつくる原料の品質も低下しています。それにもかかわらず、段ボールに対して、「壊れやすくなった」「使いづらくなった」と感じることは少ないのではないでしょうか。
これには、見えないところで製紙用薬品が活躍しています。段ボールは、軽くても、薄くても、一定の強度が必要で、紙に強度を付与する製紙用薬品(紙力増強剤)の重要性が大きくなっています。ハリマでは、紙力増強剤「ハーマイド®シリーズ」、「ハリコート®シリーズ」を長年にわたり販売しており、この分野において大きな役割を担っています。また、そのノウハウを活かし、段ボール業界における、CO2排出率削減と品質維持の両立にも一役買っています。
この地球が抱える環境問題に向き合いながら、便利で豊かな暮らしを支え続ける。そんな取り組みに、ハリマは目に見えない形で貢献しています。