「三法規制」対応のPAM系紙力増強剤
外出先の売店、レストランやファストフードなどの外食店、スーパーやコンビニ、百貨店、宅配など、あらゆる場面で私たちの生活と切り離すことができない「食」。昨今あらゆるものに対する、消費者の安全・安心への関心が高まっており、「体の中に入る『食』の安全」に対する要望は特に厳しく、製造・販売するメーカー等も細心の注意を払っています。私たちの身近で販売されている食品には、容器や包装材が使用されており、その多くが「紙」でできています。消費者に快適な食シーンを提供するため、菓子の箱やハンバーガーの包装紙、ドリンクの紙コップといった紙製品は、その用途や目的に応じて強度や耐水性が調整されています。そこで活躍するのが、紙に強度を持たせる「紙力増強剤」や、紙に耐水性を持たせる「サイズ剤」といった製紙用薬品です。
これらの製紙用薬品を食品包装材料に安心して使用いただくために、世界各国で規制の整備が進んでおり、特に「世界三大食品包装材料規制(三法規制)」とも呼ばれているFDA(米国食品医薬品局)、BfR(ドイツ連邦リスク評価研究所)、GB9685(中国食品接触材料法規制)は、業界の最も厳しい基準となっています。ハリマでは、2023年に、ポリアクリルアミド系紙力増強剤「ハーマイドT2」を新たに開発し、三法規制に対応する間接食品添加物としての認証を取得しました。この認証取得は、高分子量かつ両イオン性を有するPAM系紙力増強剤では世界初となります。
ハーマイドT2は、パルプを抄紙する工程において、段ボールの素材となる板紙や印刷用紙や食品包装用紙に必要となる乾燥紙力を向上させる薬品で、ポリマーの高分子量化、およびカチオン基やアニオン基の配置の最適化によって、広範囲な使用条件下での効果を生み出します。世界的に古紙の利用率が高まっている現在、リサイクルによって損なわれるパルプ繊維間の結合力を補い、再生された紙の強度を保つのに大きな力を発揮します。さらに、プラスチック使用量の削減を目的とした紙素材活用の観点からも効果的です。
今後も国内はもとより、海外諸国の法規制への対応を進め、安全性と機能性を高めた製品ラインナップを充実させ、グローバル展開を加速させていきます。