熱交換器を進化させる樹脂合成技術
うだるような夏の暑さでも、凍えるような冬の寒さでも、人々が快適な室内で過ごすために欠かせないエアコン。そのエアコンに大きな変化が秘かに起こっているのをご存知ですか?
これまでエアコンの熱交換器はアルミ製のフィンと呼ばれる複数の薄い板と、冷媒などが通る銅製の配管で構成されていました。しかし今、重くて金属価格の変動が大きい銅の使用をやめ、これらをすべてアルミ化する動きが広がっています。アルミにすることで材料費が下がるだけでなく、熱交換器そのものの重量や体積を減らすことができるのです。
しかしこの材料変更によって、これまでの幾層にも並んだフィンを通る銅管を拡張させて接触・固定する方式から、アルミ部品全体に熱をかけて接合するろう付け方式へと製造工程も大きく変わるのです。
このろう付け方式では、ろう付けを阻害するアルミ表面の酸化膜を除去してくれるフラックスと呼ばれる粉体原料をろう付け寸前まで部品の表面につけておく必要がありますが、適正な量の粉体原料をろう付け前に部品全体へ満遍なく留まらせておくのが至難の業。フラックスの粉を振りかけたり、水に溶いたフラックスをスプレー塗布したりしても、すぐにフラックスが落ちたり、場所によって付着量に偏りができたりしてしまいます。
そこでハリマ化成特製のバインダーを使ったフラックス塗料の出番です。個々のパーツにハリマのフラックス塗料を事前に塗布してから組み付けることで、ムダなく・ムラなく欲しいところにフラックスを付着させることができるのです。ハリマのバインダーは製造工程での衝撃や振動があっても、フラックスを落とすことなくしっかりと留まらせてくれます。しかもろう付け寸前の加熱中に熱分解して消失し、一切ろう付けを阻害しません。
その仕事ぶりは正義を執行して颯爽とその場を去っていくヒーローのような存在かも!? ハリマの樹脂合成技術は陰ながら皆様の生活を支えているのです。