One Hour Interview
より効率よく、より安定した太陽電池を次世代に
梅山有和
ナノ構造の研究がヒントに
この研究テーマにはいつ頃から取り組んでこられたのですか。
私は高分子合成で学位を取ったのですが、その後に京都大学の助手になったときには、光有機化学の研究室に入りました。その研究室でちょうど太陽電池の材料について研究が始まったため、私も太陽電池に使うポリマーの合成研究を始めました。2007年頃のことです。当時も今もドナー化合物にはポリマーが広く使われており、面白いポリマーもいくつかつくることができましたが、一方でフラーレン誘導体の研究も行っていました。
非フラーレン化合物といっても非常に幅が広いと思われます。先生が扱っているのはどのような化合物なのでしょうか。
確かに幅は広いのですが、太陽電池の材料として高い変換効率が得られるものはある程度、構造のパターンが決まっているのです。強く電子をもらいたがるアクセプターのユニットがあり、その真ん中に電子をあげたがるドナー性のユニットを持ってきて挟むという構造です。
7~8年前からそうした構造が注目を集めていて、私もその分子設計を参考にしながら、自分の特徴を出すような分子がつくれないか研究をしています。
「先生の特徴」とはどんな特徴なのでしょうか。
非フラーレンのアクセプターに、有機合成でできるナノグラフェンのような構造を組み込むところが1つの特徴です。これはナノ構造材料の研究から発想を得たものでした。