家庭料理に松を取り入れる

　松が料理に使えることを知った美穂さんは、自分でレシピを考案して松料理をつくるようになった。

　「特別な料理をつくるつもりはありません。ハンバーグとかコロッケとか、家庭で日常的に食べている普通の料理に、松を取り入れるのが基本です。つくり方も簡単なものばかり。食べてみておいしいと感じたら、家に帰ってすぐつくることができます」（美穂さん）

　例えば、「松葉と松ぼっくりの炊き込みご飯」はご飯を炊くときに松葉と松ぼっくりを入れるだけ。ひとつまみの塩と松の香りと旨味でおいしく、松の効能も摂取できる。炊飯器は一般的なもので構わない。

松葉味噌を使ったみそ汁は、松の枝と葉から出汁をとる。松独特の匂いも苦味もまったくない。しっかりと旨味とコクのある味わいに仕上がっている

　村松さんたちは、調味料にも自作の松葉塩や松葉醤油、松葉オイルなどを使う。松葉塩は乾燥させた松葉を粉にした松パウダーに塩を混ぜたもの、松葉醤油と松葉オイルは、それぞれ醤油とオイルに松葉を漬け込んだものだ。松葉と樹皮、枝を煮込んで抽出し、濃縮させたものを松葉エキスと呼び、これも料理に使う。

　「松エキスはトータルで20時間ほどかけてつくります。松料理そのものは簡単にできるものばかりですが、お客さまからは、食後体が温かくなった。ラクになった。などのご感想をいただきます」（美穂さん）