能登さんご自身にもノウハウができたのではないですか
そうですね。確かに「地域おこし協力隊」で来た頃は、初めてのことだらけでカルチャーギャップを感じたこともありました。そこで学んだことをここに来た子たちに教えることができますし、農業に関しては難しいということも理解できました。当初は自分たちで畑をやろうともしたのですが、なかなか続かなくて。結局、農家さんのところでお手伝いしながら学ばせてももらう方がいいなと。
空き家をDIYで改修することが多くありましたから、DIYのノウハウやお手伝いいただけるスタッフは有難いですね。ハリマさんからお借りした寮を自分たちでDIYしながらスタートしましたが、居住者の要望なども取り入れながら、DIYを重ねてきました。
もともとは男子寮の浴場は大きなものでしたが、やはり居住者が使いやすように、ユニットバスとシャワールームに分けて改装しました。これで男子寮だけでも4つの浴室ができました。2階は個室だけでしたが、吹き抜け空間を板張りにして、最近、新しい生活様式に対応した学習ルームを設置しました。通信制大学のスクーリングやプライベートなビデオ通話などができるようリモート学習ブース4室でWiFiも完備しています。
活動内容はどのようなものですか
入居者は週5日間働くことを目指しているので、事務局の方で平日は多様な活動を用意しています。いろいろなところに出かけてお手伝いしたり、ヨガ教室や陶芸教室など講師の方に来ていただいてイベントも開催しています。基本的にはこれらの活動はボランティアなのですが、農家さんの中には年間で委託費用という形で報酬をいただけるものもありますので、その場合は、入居者は参加することで報酬をいただけています。アルバイトの練習みたいな感じで運用しています。
また、今では近隣の50~60社の企業さんとネットワークができていますので、見学や就労体験、短期のアルバイトなどの支援も受けています。何より地域の理解があって成り立つ事業ですから。
卒業生にはホテル作州武蔵で働いている子もいます。その子はもう4~5年働かせていただいています。それまで数か所アルバイトとか試用期間を設けてチャレンジしていましたが、どこも長続きしなかったのですが、ハリマさんでは皆さんに温かく迎い入れられ、本人も居心地がいいようです。また、ここの居住者も近々面接に行く予定となっていますので、同じように働かせていただけるなら有り難いことです。
日常生活はどのようにしておられますか
共同生活の中で社会経験を積むことになりますし、居住者同士で助け合うことが成長にもつながります。食事当番も大変です。一度に15人程度を用意しなければなりませんから、メニューを決めて調理し片付けまでするとくたくたです。食材や消費財は生協が週に一度届けてくれますが、それ以外のものはスタッフが入居者を連れて津山市まで出かけます。それを楽しみにしている子もいます。個人の買い物は、近くのコンビニへ共有の電動アシスト自転車でいけますが、共有の原付バイクも4台用意していますので、原付自転車免許などを取得してもらって活動範囲を広げてもらうようにしています。